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14年前の事件を振り返って

学校の役員として、3~4年の保護者は『人権委員』と言う役割があり、
その活動の1つとして『松本サリン事件』冤罪被害者の河野さんの講演を聴きに行きました。
(詳しく御存じない方は、リンクからウィキペディアに飛んで下さい。)
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河野さんは事件の被害者で、第一通報者です。
警察は被害者の周辺をまず捜査し始め、7件の家庭が家宅捜査を受けたにも関わらず、
マスコミが河野さんだけをあたかも容疑者のように取り上げ報道しました。

重体の奥様の為に救急車を誘導しようと奥様をおいて玄関に出た行動、
サリンによる神経作用で記憶の分野が被害を受け、翌日の事情聴取で当時の記憶がハッキリしなかった事、白い煙が出たと言う虚偽の証言、趣味の陶芸や写真の現像のための薬品類を自宅保管していた事・・・。

容疑者と言う偏見がなければ、一つ一つをクリアにして行く事が出来たはずなのに、
河野さんを黒とする前提の上で捜査は始まり、全てが『怪しい』事になってしまいました。
翌日から、河野さんは殺人犯扱いで報道されてしまい、無言・中傷電話、脅迫などが始まり、
入院している河野さんや奥様ではなく、高校1年生の長男が対応しなくてはいけなくなりました。
河野さんは長男に、一つ一つの電話に誠実に対応するように・・・と助言したそうです。
無言電話にも無言で返さず、『おっしゃる事がないのであれば、お切りします。』と一言。
中傷の電話には、『そうおっしゃるのでしたら、一度父と会ってお話をして下さいませんか?』と。

一ヵ月後に退院した河野さんを待っていたのは、嘘発見器、自白の教養など・・・強引な捜査。
河野さんは一貫して否認しましたが、具体的に警察の手法をお聞きすると、
やっていなくても自分に不利な供述をしてしまうかもしれない・・・と私も怖くなりました。
河野さんは大変機転が利く方で、又、共犯として捜査された高校1年生の長男も
どんな状況でも凛として応対し、壮絶な状況の中でも出来る限りの努力をされました。

身の潔白を証明する事が出来るなら、どんなに良かったでしょう。
河野さんがおっしゃっていましたが、何もしていない事を証明するのは不可能です。
真犯人の黒を証明しなければいけません。
警察やマスコミからココまで疑われた状態では、自分の努力で白になるのは大変難しい事です。
翌年、地下鉄サリン事件が発生しなかったら、この事件は一体どのような結末になったのか
考えると恐ろしくなります。

河野さんの人徳で支えられた出来事もあります。

会社は河野さんの潔白を信じてカンパ運動などをしてくれた事、
友人はお金を肩代わりしても良い弁護士をつけてくれようと動いてくれた事、
子供達の学校の先生の適切な対応で、子供達がいじめに遭わなかった事。

マスコミには河野さんの顔写真が出なかったそうです。
友人、知人が何十万円の値がついても、マスコミに写真を売らなかったのだとか・・・。

一人でも良いから100%信頼してくれる友を持って欲しい、とおっしゃっていました。
これはとても難しい事だと思うけれど、信頼されるためには自分の努力が必須ですよね。

また、河野さんが長男におっしゃったと言う 『心の位置を高く持つ』 事。
何をされても 『許してあげよう。』 と思う気持ちが大切との事です。
どんな境遇でも 『心の位置を高く持つ』 事は可能だと。
自分の気持ちの中だけの変化だけれど、苦しい時にはそんな考え方もあるのだと勉強になりました。

大変大きな事件なので、自分の身に置き換えて実感する事など不可能だけれど、
河野さんの行動、考え方、家族の絆・・・実生活に取り入れる事は出来るのではないかと思います。
そして、真犯人の名は河野さんの口から出たか出ないか・・・と言う程度。
恨み言もおっしゃいませんでした。
強い心を持つ河野さんでなければ乗り越えられない事だったかもしれません。

振り返ると、当時私もワイドショーなどを時々見ていました。
マスコミの報道に何の疑問も持ちませんでした。
ただ、野次馬根性で『どうなったかな?進展はあったかな?』と思っていました。
そんな視聴者を満足させるために、中途半端な取材や情報の切り貼りで番組をつないでいたのかもしれません。
ペンは剣よりも強し、と言われますが、これはペンが無意識に悪用されてしまった事件。
今はネットと言うツールを使って、誰もがペンを持てる時代です。
自分の発言には責任を持たなければ・・・と改めて思いました。

また、警察と言う立場、あるいは教師と言う立場、身近なところでは親と言う立場・・・
常に上から下を見下ろす立場にいる方に、是非一度立ち止まって相手の人権について
考えてみて欲しいと思います。

拙い文章ですが、私が得た事を少しでもお裾分け出来れば・・・と思って書いてみました。
長々と読んで下さってありがとうございました。
by shabbystyle-kao | 2009-02-05 12:16 | 日常